野菜ソムリエの資格を活かして農家の新しいあり方を模索中!石毛麻里子さんインタビュー

野菜をひたすら作って出荷する。農家さんの仕事はそれだけではないようです。
最近では、収穫体験を行ったり、自信の経験や資格を活かして新しい販売方法やPRに取り組んだりしている農家さんも増えてきます。
今回は、野菜ソムリエの資格と家業の農業を掛け合わせて、野菜の魅力を伝えようと奮闘している石毛麻里子さんを訪ねました。

石毛麻里子さん(35)
銚子生まれ銚子育ち高校卒業後は旭市内(銚子市の隣町)のジムでインストラクターとして働く。
20歳頃から家業の農業を手伝うように。
2013年に野菜ソムリエの資格を取得し、その知識を活かして野菜の販売会などを行っている。

「自然と継ぐと思っていました」お婿さんとともに家業の農業を継ぐまで

銚子生まれ銚子育ち、高校卒業後は隣町の旭市のジムでバイトをしていたことから、ずっと実家を出たことがないという石毛さん。幼稚園から水泳をやっていて、インストラクター時代も子供達に水泳を教えていましたが、20歳頃から少しずつ実家が営む農業に関わる割合を増やしていき、ここ1年ほどでより農業に占めるウエイトが大きくなったそうです。
「ジムで良かったのは夫をゲットしたことかな」と笑う石毛さん。実は23歳の時に、9歳年上の旦那さまと結婚。現在はお婿さんとして石毛家で農業に携わっています。

神奈川県出身の旦那さまですが、「私よりも近所付き合いをしていると思う。田舎暮らしも苦ではなさそう」と、地域にも溶け込んでいるそうです。
「妹がいるけど、育っていく上で暗黙の了解というか、自然と私が継ぐと思っていました。親からは『絶対に継げ』とは言われなかったし、私も継がなきゃいけないと思っていたわけではないんです。それでも、結婚するならお婿さんをもらって家業を継いでもらうことを意識していました」とも話してくれました。

野菜ソムリエの資格を活かして販売会に出席

現在の仕事内容は意外にも「家事がメインですよ!」と笑う石毛さん。お父さんがセロリ、旦那さまがトマトをメインに作っているので、その手伝いをしているそうです。
「私は育て方が全然わからないから、言われたことをやる感じ」と農作業ではサポート役だそうですが、販売の場面では一転、野菜ソムリエの資格を活かして各地で販売会を行っています。

「もともと何か肩書きが欲しいと思っていたんですけど、使えるものを取らなきゃいけないし。そんな時に野菜ソムリエの資格を知って、『取るならこれしかない』って思いましたね。これならうちの野菜を広められるかなって思ったんです」「野菜ソムリエを取っていなかったら、販売会もやっていなかったと思う」と話すほど、農業と野菜ソムリエの相性は良いようです。
野菜ソムリエの種類は、「野菜ソムリエ」、「野菜ソムリエプロ」、「野菜ソムリエ上級プロ」の3つ。石毛さんは2番目の「野菜ソムリエプロ」の資格を持っており、野菜の食べ方、栄養、ルーツなど、野菜や果物のより専門的な知識を身につけています。
「野菜ソムリエプロの資格を、スーパーやレストランの店員さん、料理研究家、栄養士などの仕事に活かしている人は多いみたいですけど、農家で持っている人はまだまだ少ないと思います」「でも、それをもっと生かさないと。いまいち活かし切れているのかわからない」と話す石毛さんですが、販売会では試食と季節に合ったレシピを提供して、しっかり野菜をPRしています。
「売れることより美味しいって言ってもらえるのが嬉しいんですよね。直接最後まで届けたいって思いが強いのかもしれないです」とも話してくれました。

「銚子デトックス旅」でも野菜ソムリエとして活躍

12月上旬に行われた「銚子デトックス旅〜ココロとカラダのリトリート〜」。
銚子の温泉や自然豊かな環境を堪能しながら、ミネラルファスティングを体験するこのツアーでは、最終日に農業収穫体験と、体に優しい回復食ランチを楽しむことができました。この時、体験と回復食ランチを提供したのが、石毛さんなんです。

「やりたいなって思ったことはあったけど、色々準備しなきゃいけなくてちょっと無理かなって思っていたんです。自己紹介の時は声が震えるくらい緊張して大変でしたが、美味しいものを食べてもらいたいって気持ちがあるので、それ以外はとても楽しかったです」と、提供する側の石毛さんも初めての収穫体験を楽しんだようです。
農業をする両親に代わって食事づくりの手伝いをよくしていたので、「料理は好きです」 とのこと。デトックス旅では、丸ごとトマトの入ったポトフ、ふろふき大根、野菜スティック、デザートにサツマイモとりんごの煮物などを回復食ランチとして提供。参加者のアンケートでも、収穫体験とランチがもっとも評価が高かったようです。

野菜ソムリエの石毛さんが冬のいちおしレシピを教えてくれました

「この季節はこういうやさいを食べると体にいい作用がある、でもこういう食べ方はダメなんだよ、というところまで知ってもらいたいなっていうのはあります」と石毛さん。せっかくなので、野菜ソムリエの石毛さんに、野菜にまつわるあれこれを教えてもらいました。
四季折々で取れる野菜が違うのはもちろんのこと、季節によって料理の仕方も違うそうです。例えば、「トマトは冬は生で食べちゃいけない」「冬は長く煮込んだ料理の方が体に合うので美味しく感じる」「夏はさっぱりした味付けで」などなど。
今回石毛さんが教えてくれた、冬のいちおしレシピは「長ネギの玄米クリームリゾット」。

長ネギと玉ねぎ、豆乳の和風クリームリゾットです。これならネギ嫌いのお子さんでも食べられそう!

また、どんな料理を作るにしても「野菜が美味しいのが条件。旬の野菜が一番美味しいです」「まずは美味しい野菜を見つけることから始めて欲しいです。例えば道の駅に行くと、生産者の名前も表示されているので、いろいろなものを食べてみて、自分の口に合う生産者を探したり。そういうことを楽しんで欲しい」と石毛さん。
美味しい野菜を見つけるところから楽しめれば、料理をより美味しく感じられそうですよね。

収穫体験や加工品作りにチャレンジしていきたい

これからは収穫体験やランチなどの提供、加工品づくりを行っていきたいと今後の展望を語ってくれました。
今実際に進んでいるのは、ドライトマトの加工品。


▲ミディトマトで作ったドライトマトの試作品

「これまで、出荷できないB品のトマトは周りにあげたりしていましたが、どうにかしたい気持ちもあって」 「カラフルにすると可愛いかなって。カラフルトマトのドライトマトを作ろうと考えています」と、大玉トマトでドライトマトを作るべく、準備をしているそうです。
「みどりの大地」、「道の駅 季来里あさひ」、「C’s marina」(千葉科学大学内にあるレストラン)ではすでに販売することが決まっており、「犬吠埼テラステラス」でも販売予定とのこと。(税込350円)
また、イオンの鮮の市には3月までセロリを出荷していて、いつも何かしらの野菜を置いているそうなので、こちらも要チェックです!

関連記事

  1. 銚子の最年少観光大使、麻布十番でサバサンド(銚子産鯖使用)販売中!

  2. 銚子への恩返しがしたい!ミュージシャンの経歴をフル活用する大内かっぱハウス館長・相馬圭二さん

  3. 廃校を改装したスポーツ合宿施設『銚子スポーツタウン』オープンの裏側を代表取締役 小倉和俊さんに伺いました

  4. 震災を乗り越えて今がある。銚子観光の目玉「イルカウオッチング」を小さな体で支える女性に迫る〜大富奈穂子さんインタビュー〜

  5. 350年以上の伝統を守るために新しい風を起こす!ヤマサ醤油・冨成浩静さんに迫る

  6. 人とものとが交差する場所を目指す!『C’s marina』宮内沙織さん