こんにちは、ちょうしフラット通信ライターの江戸しおりです。
3月末から始まったちょうしフラット通信は、もうじきリリース半年を迎えます。
スタート時、ちょうしフラット通信では「銚子観光協会や銚子出身のライター、銚子を愛するサポートメンバーが、知られざる銚子の魅力を丁寧に発信していきます。」とご挨拶しましたが、これまで、ちょうしフラット通信の裏側や編集部メンバーについて詳しく紹介したことはありませんでした。
そこで今回は、ちょうしフラット通信のメンバーの一人に迫りたいと思います!
ちょうしフラット通信の拠点は銚子市役所内にあった!
8月末のある日、私が訪れたのは銚子駅のほど近くにある銚子市役所。
なかなか足を踏み入れる機会はないので、銚子市民でも中の様子を知らない人が多いと思いますが、庁舎内には銚子の文化や特色を感じられるものがいたるところにあるんです。
▲海の街・銚子らしく、交通安全も詐欺の警告も大漁旗!
▲銚子の特産品もずらり。
そんな玄関ホールを横目に2階に上がると、左手に「一般社団法人 銚子市観光協会 DMO準備室」の文字が。
中をのぞいてみると、2人の女性が仕事をしていました。
この2人こそが、ちょうしフラット通信メンバーで銚子市観光協会所属/DMO準備室の佐野明子さん(奥)と地下玲菜さん(手前)。いわばここが、ちょうしフラット通信の拠点なんです。
今回は、ちょうしフラット通信のリーダー的存在である佐野明子さんに、ちょうしフラット通信を始めた経緯や思いを伺います。
佐野明子さん(41)横浜生まれ横浜育ち2007年に九十九里町に移住。2010年頃から銚子との関わりが増え、2011年10月、銚子市観光プロデューサーに就任。任期終了後も市の事業に携わり、2015年8月から再度銚子市観光協会に入職。2017年7月、DMO準備室室長に就任。
ちょうしフラット通信立ち上げの背景にはDMOが。DMOとは一体…
ーーまずは、ちょうしフラット通信を始めた経緯を教えてください。
私たちは現在、DMO立ち上げの準備をしています。その中でまず、銚子にある情報の整理と発信が必要であると感じました。
銚子ではさまざまな立場の方が精力的に活動し、それぞれが情報を発信しているので、まとめサイトじゃないけれど、ここを見れば銚子の情報が一貫して見られるものがあればいいなと思い、ちょうしフラット通信を作りました。
ーー実は始まった時から「DMO」という言葉の意味を幾度となく尋ねているのですが、未だによくわからないんです(笑)今一度教えてください!
簡単に言えば、観光業者だけでなくあらゆる産業が観光に関わり、地域全体で観光で稼ぐ力をつけるための調整役としてDMO(Destination Management Organization)という法人が存在します。今、観光庁が全国各地にDMOを設立することを推奨しているんです。
銚子のDMOは銚子市観光協会が取り組むことになり、現在、主に私たち二人がDMO立ち上げの準備をするために動いています。
ーーわざわざDMOにしなくとも、銚子市観光協会のまま同様の取り組みをすることはできないんですか?
銚子市観光協会は、観光案内所で業務を行うなど、収益を生まない公益性の高い活動をメインで行っています。補助金もいただいていますが、案内所運営には十分ではないので、協会の会員による会費や、指定管理を受託している銚子ポートタワー、地球の丸く見える丘展望館などの入館料等で大部分をまかなっています。
一方でDMOは、より地域全体が観光で稼げることを目指すための調整役です。
団体旅行から個人旅行にシフトしている時代背景など、さまざまな要因から、銚子市の観光客数は減少傾向にありました。それが、東日本大震災をきっかけに一気に落ちてしまい、閉業に追い込まれてしまった宿泊施設もいくつもありました。
その頃に比べれば回復してはいますが、震災前の状態に戻すことは難しいでしょう。さらに、銚子市自体の財政が厳しいということもあり、観光で稼ぐことが急務とされています。
着地型観光ツアーや商品開発でDMOでの収益化を目指す
ーー観光で稼ぐ。つまり、地域の力で稼ぐことが求められている。だから、より利益を追求できるDMOを設立するんですね。いつ頃までに…といった目標はありますか?
今年度中にDMOの候補法人の登録をする予定です。早ければ数年で日本版DMOに登録でき、本格的に活動開始という流れになります。
また、DMOは自ら収益を得て自走することを強く求められていて、補助金が終わる来年度末までには「観光で稼ぐ」部分を確立させなければいけません。
そのためには、情報発信などの公益的な仕事はこれまでと同様にしつつ、銚子の産業を生かして商品開発をする、旅行を販売する、もっとイベントを開催してお客さんを呼んでくるといったことが必要だと思うので、今一生懸命取り組んでいるところです。
ーー情報発信はまさにちょうしフラット通信ですよね。そこは後ほど詳しく伺うとして、そのほかに今取り組んでいることを教えてください。
観光協会で旅行業の資格を取ったので、旅行を販売できる状態になりました。まずはモニターツアーから始めており、ツアーに同行して直接お客様と接することで生の声をたくさんいただいています。
イルカウオッチングや温泉、海の幸などにとても喜んでくださり、私もお客様の「ありがとう、また来ます」の言葉に元気をもらっています。
ただ、今後正規料金で十分に満足いただくこと、しっかり集客していくことが大きな課題だと感じています。
また、着地型観光(参加者が現地集合、現地解散する観光の形態)をもっと進めていきたいと思っていて、今は、外川(とかわ・銚子の南東部にある漁師町。坂の多い風情ある町並みが人気)に焦点を当てています。外川や観光に関わる人々との協働で、難易度は高いですが、小さくても何かを生み出したい!と動き出したところです。
外川は日本人にも人気がありますが、特に外国人にとって興味の沸く場所ではないか、と思っています。日本の人口が減る中で、銚子の宿泊施設の方たちも外国人旅行者の増加に力を入れ始めています。DMO準備室としてもインバウンド(外国人が訪れてくる旅行のこと)に力を入れていかなくては、と感じています。
さらに、商品開発のほうはすでに形になっていて、「おちょうしれもん」の販売が先月から始まりました。
収益化の第一歩を踏み出した「おちょうしレモン」
ーー先月のちょうしフラット通信でも紹介しましたよね。どんな商品なのかもう一度教えてください。
レモンゼリーですが、ただのレモンゼリーではありません!醤油が入っているのが大きな特徴なんです。
ーー醤油の街・銚子ならではの商品ですよね。どのような経緯で開発・販売に至ったのでしょうか?
DMOの収益化のために商品開発をする必要があり、商品開発の専門家の方や、市内の事業者さんとお話して、アイデアを練りました。
お菓子や缶詰などさまざまなアイデアが出るなかで、「ゼリーは面白いんじゃないか」と感じ、量産できて単価がちょうどいいこともあり、富士正食品さんにゼリーを作っていただく運びとなりました。
でも、作るとなるとレモンやアセロラゼリーとなるので、銚子らしさがなかったんです。何か銚子らしさを加えたい、と考えたのが、醤油を入れることでした。
ーー銚子らしいですが、ゼリーに醤油を使うとは斬新なアイデアですよね。開発はスムーズに進んだんでしょうか?
当初は技術的に難しいという話だったのですが、グルテンフリーの粉の醤油を使うことで、製品化に成功しました。これを使わないと作れないそうです。
ーー粉の醤油!新製品を1つ作るのは簡単なことではないんですね。売れ行きはいかがですか?
なかなか好調です。子供やスポーツをする人に人気があるようですね。観光案内所、地球の丸く見える丘展望館、ポートタワー、ウオッセ内の「海風」といった観光客の多い場所で販売しているので、観光客の方に多く買っていただけているようです。
ーー今後、販売店舗の拡大はありそうですか?
銚子スポーツタウン(旧銚子市立西高校をリノベーションした宿泊・スポーツ施設)でも販売が始まりました。
あとは、イベントで自ら売り歩いています。
その他にも「おちょうしれもんを販売したい!」という声をいただいており、徐々に増えていく予定です。
ーーイベントではお客さんの反応を目の前で見る機会もあると思います。手応えはいかがですか?
「美味しい」と言ってすぐに2つ目を買いにきてくれる方もいるくらいなので、概ね好評です。しかもクセになるのか、ハマる人も出てきています。私もその一人で、自分で買ってよく飲んでいます(笑)
ーー私もいただきましたが、本当に不思議な味でした。レモンと醤油の相性が絶妙で、料理に使えるんじゃないかって思ったり。パッケージもインパクトがありますよね。
構想を形にするのも大変だし、売れるようにするのも大変。日々数え切れないほどの商品が生まれる中で、残る商品は一握りだということはよくわかっています。
だから、素人の私たちがどこまでできるかわかりませんが、他に埋もれないものを作るために、味はもちろん、パッケージにもこだわりました。「とにかくインパクト重視」とお伝えして、地元の方に描いていただいたんです。
ーー夏らしい元気なパッケージで印象に残りますね!次の商品の構想はもうあるんでしょうか?
ぬれせんの生地と醤油と鉢をセットにして、自宅でぬれせんがつくれるキットを開発中です。もうすぐ販売できると思うので、楽しみにしていてください。
(聞き手・文・写真/江戸しおり)
DMOの課題や佐野さんの知られざる経歴、ちょうしフラット通信の今後については次の記事へ
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