たくさんの人に食の大切さを知ってほしい!イベントやカフェ運営を精力的にこなす木ノ内悦子さん

オーガニックやマクロビがブームとなって10年以上が経ち、もはや一時の流行りなどではなく、れっきとした食文化として根付いているような印象も受けます。生活の中心にオーガニックやマクロビがあるという方も少なくないのではないのでしょうか。

そんな方におすすめしたいのが、銚子にある「Green café 月音」。

店主の木ノ内悦子さんは「こんなに素材にこだわりを持ったカフェは他にないと思います」と自信を持って話します。
10年以上前から本格的にマクロビの世界にのめり込み、銚子で人気イベントやこだわりカフェを運営している木ノ内さんに、食への思い、銚子への思いを伺いました。

木ノ内悦子さん(59)
銚子生まれ銚子育ち
高校卒業後は東京で音楽活動を行う。28歳で帰郷。2013年から毎年オーガニックや食の大切さをテーマにした「海と月のグリーンマーケット」を開催。2014年に「Green café 月音」をオープン。

体調を崩したことが食を考えるきっかけに

ーー木ノ内さんの経歴を教えてください。
銚子生まれ銚子育ちです。高校卒業後はビジネス系の専門学校に進学したものの、音楽と出会って、学校は辞めてしまいました。
そのあとはボーカルとしてバンドに参加したり、ジャズクラブで歌ったり。プロを目指してバイトをしながらライブ活動をしていました。

ーーどうして銚子に戻ってきたんですか?
「夢破れて」という感じでしょうか。当時はお酒も好きで、体を壊してしまって。それで、28歳の時に銚子に戻ってきました。
当時は父がやっている会計事務所を手伝っていましたが、これといってやりたいこともなく、たまに歌を歌ったりして趣味に走っていましたね。

店内にもジャズのCDが

ーーそこから食にこだわるまでにはどのようなことがあったのでしょうか
銚子に帰ってきた頃は、体調が悪くて美味しいものも食べられなくて…という状況でした。それで、なんとなく食にこだわるようになったんです。
添加物や農薬、化学肥料はNG。野菜、お米は東庄(銚子市の隣町)から、魚は銚子のとれたてのものを。牛乳なんかもいいものを取り寄せて、調味料も変えて…。
そんな風にオーガニックを取り入れてみたらすぐに体調が良くなって、食の力のすごさを実感しました。そこからはもう30年以上オーガニックを大事に生きています。

ーーそこから本格的にマクロビを勉強するようになったんですか?
その頃からずっと健康オタクを続けていたけど、12〜3年前にマクロビに出会ってから、急激にのめり込むようになりました。自分の目指すところはここだ!と思って。それで、食に携わる仕事をしようと思うようになったんです。

ーーマクロビにのめり込むようになったきっかけはどのようなものだったんですか?
マクロビといえば玄米ご飯なんですけど、以前食べた時は、ボソボソして好きじゃないなって感じたんです。自分には合わない!って。
それがある時、お料理教室で食べた玄米ご飯が本当に美味しくて!これなら毎日食べられると思ったのがきっかけです。
マクロビの考え方にも共感が持てたので、5〜6年間で2つのスクールに通ってしっかり勉強して、アドバイザーの資格まで取得しました。

ーーでもそこからカフェオープンまでにはまだまだ道のりがあるんですよね。
そうなんです。まずは多くの人に食の大切さをもっと知ってほしいと思って、10年くらい前に家で料理教室を始めました。
ただ、料理教室は少人数制なので、そこだけで食の大切さを広めるのは難しいと感じていました。そこで2013年に始めたのが「海と月のグリーンマーケット」です。
銚子にはオーガニックイベントがなかったので、以前からできたらいいなとは思っていましたが、料理教室を始めてみてその気持ちが強くなりました。
イベントをやればもっとたくさんの人に食の大切さを伝えられるので、料理教室とは切っても切れない関係だと感じるようになり、いろいろな方の力を借りてイベントを始めたんです。

12月で11回目を迎える海と月のグリーンマーケット

ーー海と月のグリーンマーケットとはどのようなイベントなんですか?
食を見直すきっかけにしてもらうためのオーガニックイベントです。最初の頃はざっくりとした基準しかありませんでしたが、最近は少しずつではありますが、厳しい出店基準になってきています。それでも年々出店数が増えているので、ありがたいですね。

<海と月のグリーンマーケットの出店基準>
化学合成の農薬・肥料は使用していないこと。
遺伝子組み換えの問題からどのように作られたかわかる油かすなどの肥料を使用していること。
精製度の高い白砂糖や三温糖は使用しないこと。
遺伝子組み換えの食品は使用しないこと。
ベーキングパウダーはアルミニウム不使用で、原料の鉱物は天然由来であること。
雑貨店さんはオーガニックのものを使っているか、化学由来であっても食や環境に何らかの形でかかわっていること。
出典:海と月のグリーンマーケット

ーー銚子にこんなに若い人がいるんだ!って思うくらい、若いお客さんもたくさん来ていますよね。
年々お客さんが増えてきて、雨でも来てくれているので、うまくいっているという手応えを感じています。
神栖市や鹿島市(茨城県)の方から来てくれるスタッフもお客さんもいますね。

ーー大変なこともありますか?
年々出店数が増えているのはありがたいし、もっと増やしたいとも思っているんですが、増えたら増えただけ、まとめたり連絡したりする数も増えて準備がすごく大変。
だいたい3ヶ月前には準備を始めて、1ヶ月前にはチラシを作って配って…とやっているので、年に2回開催だと、休む間も無く次の準備期間に入るので結構大変なんですよね。
カフェの営業もあるし、自分のお店もフードで出店するので。

ーーイベントで目指すゴールやこれからやっていきたいことを教えてください。
イベントは、料理教室やカフェに比べたら来てくれる人数が圧倒的に多いので、とにかくたくさんの人に食の大切さを知ってもらうことを目標にやっています。
あとは、前回から「コメ食のすすめ」、「固定種・在来種の種を守ろう」というテーマも掲げるようになりました。イベント運営にもやっと余裕がでてきたので、オーガニックにもっと力を入れていこうと思っています。
また、イベントで知って、カフェに食べにきて、美味しいと思ったら料理教室に習いにきてもらう、という風に、私の活動は全て「食の大切さを伝える」という目的でリンクしていて、うまく繋がっていけばいいなと思います。

食の大切さを伝える最後のピースを埋めるためにカフェをオープン

ーー料理教室、イベント、カフェは全てリンクしているということですが…。
私は喋るのが苦手だし、お客さんがいるような仕事は向いていないと思っていました。
でも、イベントをやる中で、食の大切さを伝えるには「やっぱりカフェをやるしかないよね」という気持ちになっていきました。
ちょうどそういう時期だったのか、自分を取り巻く環境も自然とカフェをオープンする方向に向かっていて。カフェをやれば、知ってもらう、食べてもらう、作ってもらうという3つの要素が揃うと考え、2014年に「Green café 月音」をオープンしました。

店内には様々なオーガニックフードや無添加食品の販売もスペースもある

ーーオープンするにあたって、どんな苦労がありましたか?
とにかく迷いばかり!決めることがたくさんあって本当に大変でした。壁の色一つ決めるのも怖かったですね。出来上がった時にイメージと違ってたらどうしようって。
精神的にもすごくきついし、どんどん痩せて、周りに心配されていました。

ーーグリーンが印象的なとても素敵なカフェだと思います。イベントにも「グリーン」という名前がついていますが、どんな想いが込められているんですか?
昔から好きな色なので、勝手に自分のイメージカラーだと思っています。
母の実家が農家で、実家に行くと一面田んぼが広がっているんです。田植えの後だと見渡す限りグリーンで。オーガニックとも相性がいいカラーで目にもいいし、昔からそういうものが好きだったのかもしれないです。

とことん素材にこだわる!Green café 月音

ーーGreen café 月音のこだわりを教えてください。
ここまで食材にこだわっているお店は他には見たことがないってくらい食材にこだわっています。玄米、雑穀、野菜、果物は全て有機栽培のものか化学合成農薬&肥料不使用。それ以外の食材もほぼオーガニック。オーガニックでなくても昔ながらの製法で添加物不使用のものを使っています。

ーーイベントと同じく素材にはとことんこだわっているんですね。おすすめメニューはありますか?
玄米食のすすめをテーマにしているので、ご飯を食べてほしいです。みんな美味しいって言ってくれるんです。
私も、忙しいと外で食べる機会が多くなったりしますが、久しぶりに自分で炊いた玄米ご飯を食べると、体が喜ぶ感じがするんですよね。

水・木・金ランチプレート(ドリンク付)1,300円
カレーもおすすめです。スパイスから作っている自家製カレーで、とろみは玄米粉やジャガイモをすりつぶしたもので作っています。

水・木・金・土カレーランチ(ドリンク付) 1,100円
もちろんスイーツも。できるだけ旬の食材を使うように心がけていますし、甘味料にもこだわって、オーガニック食材ばかりを使っているので、ぜひ食べに来てほしいです。

豆乳ヨーグルトのレアチーズケーキ 480円イタリア産有機大豆原料の有機豆乳に植物性乳酸菌で発酵させた豆乳ヨーグルトをたっぷり使用。トッピングは砂糖不使用の有機冷凍苺のジャム。

豆乳ヨーグルトのティラミス風 480円イタリア産有機大豆原料の有機豆乳と植物性乳酸菌で発酵させた豆乳ヨーグルトのティラミス風。クリームの甘味料はオーガニックメープルシロップ。有機穀物コーヒーの他、オーガニック食材をふんだんに使用。

カボチャのなめらかプリン 450円化学合成農薬&肥料不使用のカボチャをたっぷり使用。固めているのは本葛粉と国産寒天パウダー。有機レーズン他オーガニック食材をふんだんに使用。

紫芋のモンブラン東庄の「自然村たなごころ」の自然栽培紫芋使用。スポンジケーキは有機国産薄力粉と有機全粒薄力粉、バニラクリームには有機玄米粉を使用。
漬物やウスターソース、ドレッシングなんかも自家製です。
できる限り旬の食材を使うようにしているので、毎月メニューは変わります。だから、月に2回来てプレートとカレーを毎回楽しんでほしいですね。

ーーどれも美味しそうですね!市外からのお客さんも多いですか?
半分以上が市外からのお客さんかも。銚子の人に食を伝えたいという想いで始めたので、むしろもっと市内の人に来てほしいと思っているのですが、集客に苦戦しています。
いまだに「初めて来ました」という方も多いので、まだまだ知られていないんだなって思います。
実は来年から月1で夜営業を始めるんです。オーガニックワイン、自然栽培の酒米を使った日本酒、有機栽培さつまいも100%の焼酎など、オーガニックにこだわったお酒を揃えるので、若い女性に来てほしいですね。

生まれ育った街に恩返しをするために

ーー木ノ内さんが目指すことを教えてください。
予約の取れないカフェ・料理教室を目指しています。食べて美味しくて感動してもらえればいずれお客さんはついてくると思うので、今は料理の腕をあげて頑張るしかないと思っています。
それから、生まれ育った街に恩返しをしたいです。カフェもイベントも盛り上げて、県外の方が銚子に来るきっかけになれば嬉しいです。
海と月のグリーンマーケットは観音様(飯沼観音)で開催しているので、イベントのついでにお参りをしたり、その足で海に行ったり、イベントとセットで銚子を楽しんでもらえれば。そのために、もっとクオリティを上げていかないと、と思っています。

朝早くから夜中まで仕込みとカフェ営業に追われ、最初の頃は睡眠時間も全く取れなかったという木ノ内さん。それでも、「食べ物を扱っている時、命や癒しを感じてとっても楽しいんです」と満足そうに話してくれました。
オリンピックに向けて、ベジタリアンやハラールも多い外国の方向けに英語メニューも用意しないと、とさらなるパワーアップへの意欲を見せていました。
Green café 月音でカラダが喜ぶオーガニックな食を味わい、雄大な太平洋や屏風ケ浦の景色を楽しんで、疲れた体を癒しませんか?

(聞き手・佐野明子/文・江戸しおり)

Green café 月音
【住所】
千葉県銚子市前宿町698
【連絡先】
電話:0479-22-2410
FAX:0479-24-3321
Mail:tsukitowaon-tsukioto@catv9.ne.jp
【営業日&営業時間】
毎週水・木・金11:30~16:30
土曜日(第3&イベント出店時は除く)11:30~16:30
ランチタイム11:30~14:30(ラストオーダー 14:00)
ティータイム14:30~16:30(ラストオーダー 16:00)
http://www.tsukitowaon.com/cafe.html

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