▲鈴木社長(左)とちょうしフラット通信編集部・佐野(右)
株式会社 浜鈴総芸代表取締社長
銚子生まれ銚子育ち。
奈良県の高校・大学に進学、就職した後、27歳で帰郷。
家業の造園業・ハーブ園を継ぎ、ツリーハウスやドッグランの新設やワークショップの開催などで新しいハーブ園づくりに取り組んでいる
関東最東端のハーブガーデン「〜海のそばのハーブ園〜ハーブガーデン・ポケット」。目の前には雄大な太平洋が広がる、銚子らしい景色が。しかし、一歩ハーブガーデンの中に入ると、そこはまるで外国のよう!
お話を伺うと、ヨーロッパ、特にギリシャを意識したとか。
約5,500㎡もある庭園では、ハーブだけで100〜150種類、観葉植物や多肉植物など、ハーブ以外も含めて200〜250種類もの植物が見られます。
しかも、ハーブガーデン ・ポケットの魅力はハーブだけではありません。カフェテラスではハーブを使ったオムライスや冷製パスタ、種類豊富なハーブティーがいただけます。さらに、ツリーハウス、ドッグラン、ワークショップもあり、家族やペットと楽しめる素敵なハーブ園なんです。
今回は、ハーブガーデン・ポケットを営む株式会社 浜鈴総芸の鈴木浩之社長にお話を伺いました。
「実家は植木屋さん。だけど僕は飲食業がやりたい」2つを結びつけたのは実家のハーブ園だった
銚子で生まれ育ち、高校から奈良へ。そして27歳で帰郷し家業を継いだ鈴木さん。まずはその気になる経歴の詳細を伺いました。
「高校から奈良の全寮制の学校に通っていました」
「小学校の時から野球が大好きで、天理高校に行きたかったんです。頭が良い学校なので僕にはいけなかったんですけどね(笑)でも奈良に新しい高校ができるっていうことで、一期生で受けたら受かったんです」
思いの強さと行動力に編集部一同驚きましたが、「僕は意外と石橋を叩いて渡るタイプなんですよ」と鈴木さん。「勝算が見えないとやらない」と、経営者らしい一面も。
奈良では寮生活だったため、「親と兄弟のありがたさを痛感した」そうです。現在専務を務める弟さんとの関係を、自他共に「兄弟仲が良い」と認められるのは高校時代があったからこそ、と鈴木さんは振り返ります。
「何でも言い合える分、兄弟で同じ会社をやるって難しい。うちが社長と専務でやれているのは兄弟仲が良いから。でも子供の頃は毎日のように喧嘩してました。昔から仲が良かったわけじゃなくて、高校で離れたのが大きなきっかけでした」
卒業後は天理大学の国際文化学部タイ学科へ進学。
「理由はなくて、これも新設されるから先輩もいないし、という安易な気持ちで(笑)」
実はタイには全く興味がなく、飲食業に興味があったという鈴木さん。大学卒業後はお金を貯めるために運送業に携わっていました。
「小学校の時から料理でもなんでも、作って食べてもらって美味しいって言ってもらうのがすごく嬉しくて、飲食業をやりたいという思いが漠然とありました」
奈良にはおしゃれなカフェが多く、「お金を貯めてこんなカフェをやりたいな」とカフェ巡りを趣味にしていたそうです。
「僕は長男だから、いずれは家の仕事をやらなきゃいけないのかなと思ってたけど、貸し植木、造園、門松くらいしかやっていなかった家業は、全く興味がない分野でした」
しかし、ある時実家にハーブ園ができることに。「忙しいからカフェを手伝って」と言われて手伝っているうちに、家業を継げばカフェができることに気づいた鈴木さん。
「わざわざお金貯めてやらなくてもうちにあるじゃんって(笑)うちは植木屋さん、僕がやりたいのは飲食。この2つが繋がることはないと思ってましたけど、ハーブ園で繋がっちゃったんです」
こうして27歳で帰郷し、家業を継ぐことになりました。
先代から現社長へ。変わり続けるハーブガーデン・ポケット
ハーブガーデン・ポケットがオープンしたのは、先代社長の時代の1998年のこと。昔は観葉植物を生産していたハウスが5棟ほどあったものの、バブル崩壊後は観葉植物の値段が下がり、生産すればするほど赤字の時代に。
当時は今ほどハーブが世間に浸透しておらず、「ハーブ」という言葉をちらほら聞くようになった頃だったため「面白い」と思ってやり始めたハーブ園も、今年で21年が経ちます。
今はハーブだけで100〜150種類、観葉植物や多肉植物なども含めて200〜250種類もの植物がありますが、鈴木さんはその中でもハーブ担当。
もともと、ハーブへの興味は「全くない」状態でしたが、「植物に興味がなかった人にハーブの良さを伝えたかったらどういう切り口で伝えればいいのか、(興味がない)僕の方がよりわかるはず」と思い、植物の説明ポップや資料、ホームページを作ったそうです。
「ハーブって奥が深くて、アロマ、ガーデニング、薬…入り口がたくさんあるんです。だからうちが間口になれるように、資料やホームページを自分で作りました。やっているうちに知識もついて、気づけば聞かれたことには大体答えられるようになりましたし、僕自身もハーブの面白さ、奥深さに気づきました」と鈴木さん。
また、20年以上同じ経営者が運営し続けているハーブ園はなかなかない、というほど難しい業界だそうです。接客も品出しも料理の下ごしらえも資料づくりも、一人何役もこなすハードな現場ですが、「20年以上続けてこられたのは、アイデアを出しあって、少ない人手でも運営できるようにやってきたから」。
「うちもハーブ園だけだったら会社としてやっていけない。じゃあやめちゃえばいいって思うかもしれないけど、これがあるから造園の仕事が取れるんです」
ハーブ園に来たお客さんが庭園の雰囲気を見て、お庭を作ってもらいたいと思って依頼が来る。ハーブガーデン・ポケットいわばショールーム的な存在。「そういう意味でもハーブ園が絶対必要」と鈴木さんは断言します。
そんなハーブガーデン ・ポケットは、近年どんどんパワーアップしています。ここからは、最近のハーブガーデン ・ポケットの魅力をたっぷり紹介します!
ペットとお出かけしたい方にも来てほしい「ドッグラン」
一つ目は「ドッグラン」。もともと3席しかなかったテラス席は「銚子は夏でも涼しいから気持ちいい」と好評でした。ある時、ペット連れがたくさん集まり「もっと席ないんですか?」と言われる状態に。「もしかしてペット需要があるのかも」と思った鈴木さんは、ラベンダー畑を全て取り壊してドッグランにし、テラスも3倍の広さに拡大しました。
今では、ペットと一緒に行けるカフェやドッグランを探しているお客さんから高い人気を得ています。
旅行先で子供に楽しんでほしい「ワークショップ」
ハーブガーデン・ポケットでは、ワークショップや体験プランもたっぷり用意しています。
価格がお手頃なこともあり、「ラベンダー摘み」、先日テレビで紹介された「ハーブの入浴剤」作りは大人気。ラベンダーが一年中摘める場所はなかなかないので嬉しいですね!
今年は「アロマストーン絵付け体験」と「ラベンダーリードディフューザー作り」も人気だそうです。
▲アロマストーン絵付け体験
▲ラベンダーリードディフューザー
「自分が子供をもって気づいたけど、旅行って子供が行きたいから行ってるわけではないから、行った先ではせめて子供が楽しめることをやりたい。そこでワークショップを探している自分がいたんです。よく行く那須はそういうところがすごく充実してて、うちもワークショップを増やすべきだなと思って。『あの時銚子のハーブ園に行って作ったな』って思い出になってくれれば」と鈴木さん。
それまではラベンダー摘みや入浴剤作りといった簡単な体験プランしかありませんでしたが、徐々にプランを増やしているそうです。
園内にはうさぎなどの動物もいるので、子供達からは「エサやり」も大人気。近所の子供もよく来るほどだそうです。
その他、以前ちょうしフラット通信で紹介したような特別イベントが行われることも。(関東最東端のツリーハウスでハーバリウムワークショップを楽しみませんか?)
ハーブガーデン・ポケットのFacebookなどをチェックしてみてくださいね!
後編では、鈴木さんの夢を叶えたハーブガーデン・ポケットのカフェスペースや、造園業を通じた地元への貢献や思いなどをご紹介します!